Daybreak
俺は本当にお前の事が好きなんだ・・・
お前を光のない所に閉じ込めてしまいそうに・・・
愛しくて、愛しくて仕方がないんだ・・・。
だったら、いっその事。閉じ込めてしまおうか・・・?
重たい鎖で繋いで、閉じ込めて・・・
もう、俺だけしか見ないように・・・
「っ!」
「気分は如何だ?」
「か、カイ・・?」
夕鶴は自分の髪を撫でている人物の名を呼ぶ。
上半身を起こし、
辺りを少し見渡しカイに問いかける。
「此処・・・何処なんだ?」
「答える義務があるのか?」
「・・・・」
冷たい答えが返ってくる・・・
カイの冷たい手が夕鶴の頬に触れ、優しく撫でる。
その瞬間、夕鶴は硬く目を閉じた。
「お前は俺だけを見ていれば良い・・・他は何も見なくて良い・・・」
冷たい声でそういうと、彼の顎を救い上げ、
抵抗される前に無理矢理口付けた。
口付けられた時、一瞬だけ煙草の味がしたのは
気のせいだろうか・・・・?
触れるだけの優しい口付けから、
意識を奪うような激しい口付けへと
変わっていった・・・。
「っ!・・はぁ・・・」
夕鶴が酸欠に近い状態になったのを確かめると唇を離した。
落ち着きを取り戻そうと、
肩で息をする夕鶴が美しく目に映る・・・。
この美しい人を自分だけのものしたい・・・
こう言う感情の事を独占欲と言うのだろうとカイは思った。
夕鶴を此処につれてくる事は簡単だった・・・。
彼に薬を嗅がせ気絶させ、此処につれてきた・・・。
そう、そして後は彼を自分のものにするだけ・・・
何も知らない真っ白な美しい彼を・・・。
「もう少しだけ休んでいると良い」
そういい残しカイはその場を立ち去った。
部屋のドアの鍵をしっかりとかけて・・・。
カイが居なくなったのを確認すると、夕鶴は辺りを見渡した。
辺りは薄暗く視界が余り良くなかった・・・。
頼りになるのは、枕側にある窓から入ってくる月光が入ってくるだけ。
この調子だと、もう夜の九時はとっくに回っているだろう・・・。
そして、薬を嗅がされた所為でもあるのだろうか。
未だ頭がクラつき、頭痛がする。
頭痛に負けたかのように夕鶴は再びベッドに身体を預けた。
まだ自分の温もりが残るシーツが心地よい。
そして、外から空耳の様に聞こえてくる、海の波を打つ音。
その海の音が子守唄に鳴るかのように、
夕鶴の意識は再び闇の中に吸い込まれて行った。
二十分程過ぎ、夕鶴は再び目を覚ました。
先ほどまでしていた頭痛も治まり、
暗闇に目が慣れてしまったのもあるのか?
視界が先ほどよりは確りしていた。
そして、先ほども空耳の様に聞こえた海の音。
その音も先ほどよりも大きく聞こえた。
やはり、此処は海の近くなのだろうと夕鶴は思った。
しかし、理解できないのは、カイが如何して自分を
こんな所に連れてきたのかという事・・・。
そして、カイが言ったあの言葉・・・・
『お前は俺だけを見ていれば良い。他は何も見なくて良い』
その言葉の意味が夕鶴には解からなかった・・・。
薄暗い部屋に静寂が続く。
唯一、聞こえるのは、どこか遠くで波を打つ海の音のみ・・・。
夕鶴の目も、もうこの薄暗さには慣れてきて、
部屋になにが置いてある事も大体わかるようになってきた。
一見見たところは何も変わらない普通な部屋。
ただ、此処は家の近所なのか、
其れとも、何処か遠い所なのかが解らない・・・。
そして、カイが出て行った
扉の先になにがあるのかも・・・。
ギィ―――・・・・
一瞬だけ部屋の中へ光が入り、
同時にカイも入ってくる。
「気分は如何だ?」
「まぁまぁ良くなった・・・」
「そうか・・・」
パタン、と部屋の扉を閉め、
夕鶴が座っているベッドに腰を下ろした。
そして、夕鶴を自分方に寄せると、強くしかし優しく、彼を抱きしめた。
「本当はお前の事が欲しかった・・・」
「?」
「お前が俺だけのモノに成れば良いとずっと思っていた・・・
なのにお前は俺の事を見ていなかった・・・」
「か、カイ・・・ッ!」
「お前の心も身体も俺のモノになってしまえば良いのにっ!!」
夕鶴が全て言い終わる前に、カイの言葉によって途切られてしまった。
「カイ・・・っ!」
これ以上の発言を否定するかのように、夕鶴の唇を奪った。
先ほどと違い、最初から激しい口付け。
カイは、そのままの体制で夕鶴をベッドに押し倒した。
二人分の体重でベッドが軋む。
それでもお構いなしに、カイは行動を止めなかった。
「はぁ・・・」
要約唇が離れ、肩で息をする。
「なぁ。俺のモノになれよ・・・」
自分を見下ろしているカイは酷く真剣で・・・・。
そして、なんだか悲しそうな表情だった―――・・・。
「泣くなよ・・・カイ・・・」
「!?」
夕鶴の言葉に自分が泣いている事に気がつく。
止めたくとも止まらなくあふれる涙は次々と、
カイの頬を滑り落ち、下に居る夕鶴の頬に落ちる。
「本当は、お前のこと。愛していたんだ・・・
なのに・・・・俺・・・お前を誰かに取られるのが怖くって・・・だから・・・っ」
「・・・・全部知っていた」
「!?」
驚くカイに夕鶴は優しく微笑む。
「俺もカイの事・・・本当は見ていたから・・・。
でも、気持ちに気付かれるのが恐かった・・・だから・・・。」
「ゆ、夕鶴・・・」
「嘘じゃない・・・」
「夕鶴っ!」
グッとカイは夕鶴を抱きしめた。
そして、夕鶴もカイの背中に己の腕を回した。
「好きだ・・・・愛してる」
「俺も・・・好きだ・・・」
「名前、呼んで・・・」
「か、カイ・・」
「夕鶴・・・愛してる・・・」
そして二人はお互いを求め合った。
カイは夕鶴を。
夕鶴はカイを。
お互いを求めた―――・・・
そんな二人を窓から入ってくる
月光が照らしていた。
数時間経ち夕鶴はカイに問った。
まだ夜明けには少々時間がある。
「カイ・・・」
「なんだ?」
「そういえば、此処どこなんだ?」
夕鶴の問いに、カイは苦笑いすると答えた。
「まぁ。家の近所ではない事は確かだ・・・夜が明けたら帰ろう」
「・・・あぁ」
「それと、この辺近くに海があるんだ」
「じゃぁ。空耳じゃなかったんだな・・・?」
「あぁ。海、行ってみるか?」
「あぁ・・・」
建物からでて、数分歩いたところに海辺があった。
夜明けの海は誰一人も居なく、静寂が続いている。
「どう?気にってくれたか?」
「うん。」
「偶にはこう言うのも良いな」
「カイ・・・やっぱり海水は冷たいな・・・」
「まぁ。冬だしな・・・」
ザー・・・ザー・・・
辺りに海の波を打つ音がこだまする。
「夕鶴」
「なんだ?」
「もう一回キスして良いか?」
「・・・」
カイの問いに顔を赤くしながら、夕鶴は無言で頷いた。
カイは夕鶴を抱き寄せると、己のそれを夕鶴の唇に重ねた。
夕鶴も抵抗せず、カイに腕を回し受け止めた。
甘く切ない時間がゆっくりと過ぎていった。
そんな二人を、夜明け前の海の波の音だけが二人を包む。
もうじき、この海辺にも夜明けが訪れる・・・。
<END>
<あとがき>
っと云う事で、終わりました。
今回、少し雰囲気を変えたシリアスに挑戦してみました。
如何でしょうか・・・?
なんか、夕鶴もカイも全くの別人の様な気がします・・・ね?(汗
それでは、読んでくださって有難う御座いました!
この文はフリーですので、宜しければお持ち帰りください。