不安の靄



お前を不安にさせたい訳ではない・・・
虐めたいわけでもない・・・。

ただ、俺は――――・・・
不安なんだ・・・。

解っている・・・。

だけど・・・
それでも、確かめられずには居られない・・・。



冷たい目を作る必要は無い。
夕鶴を甚振りたい訳でもない・・・。
けれど、俺の指が夕鶴を苦しめているのは明白だ。


「言えってば」

何度も繰り返される、命令に近い要求の言葉。
それと同時に、夕鶴の中にねじ込んだ指をつうと動かす。

「だっ・・・誰が・・言うか・・・っ」

何度も繰り返される、否定の言葉・・・。
そんな終わりの無いループがずっと続いていた。


「簡単な事だろ?たったの、三、四文字の言葉を言えば良い事だろ?
欲しい。入れて。イカせて。
どれでも良いぞ」

煽るように、夕鶴の奥へと指を進める。

「嫌っ・・・あ・・・」

夕鶴の上げる声は、言葉とは裏腹に艶を帯びていて。

微かに腰を動かして、捕え損ね続けた絶頂を渇望しているのはあからさまだった。
判っていて俺は指を止める。
あと少し突き入れて刺激してやれば夕鶴が昇りつめるであろうそこには、触れることなく。


「くっ・・・」


かすめていっただけの波に歯噛みする夕鶴の、何と物欲しそうなことか

「そんなに我慢できないのか?
そうだろうな。お前の中、俺の指に吸い付いてひくついてるし・・・」
「・・・・うる・・・さいっ・・・」

「そっちも、溢れて止まらないもんな」

「だっ、まれ・・・・っ!」


ぞくぞくと、背筋が粟立つ。
生理的な涙を瞳に溜め、限界の顔をしてなお抵抗を続ける夕鶴の姿は、
本当に綺麗で、俺の正気を崩してゆく・・・。

再び指を肉壁に這わせて、ギリギリまで焦らす。


「本当に言えば済む話なんだぞ・・・・イカせて・・・ってな・・・」
「・・・くっ」

「好きって・・・」
「嫌っ・・・」

目を硬く閉じ、否定の言葉を上げ続けるお前・・・。

あぁ・・・どうして、こう・・・
お前は、一筋縄ではいかないんだろう・・・。

なぁ?如何したら、お前は、完全に俺のところへ落ちてきてくれるんだ?


「貴様・・・なんかっ・・・嫌い・・・だっ」

夕鶴が涙声で振り絞る言葉に、俺の中の不安の靄は完全に解消されて、
狂おしい程の愛しさが一気に正気を失わせた。

「お前が嫌いでも、俺はお前の事が好きだぞ」

「っ・・・チクショウ・・・っ・・・・あっ!・・・ああぁっ!」
「最後まで、言ってくれなかったが、俺を満足できたご褒美だ」


十分過ぎる位に慣らした、秘部へ自身を突き立て、
夕鶴のか細い腰を掴み、思いっきり揺らし、中を擦り上げる。

その瞬間、夕鶴が俺の背中に腕を回し、爪を立てる。
しかし、そんなの、痛みとは感じられなかった。


「あっ!・・・かっ・・・イ・・・・カイ・・・・っ」
「!夕鶴・・・」

そっと、夕鶴の耳元に唇を寄せ、吐息のように囁いた。

「愛しているぞ」

―――っと・・・・・。


かってな、不安の靄を自分で作って、
お前を困らせる・・・。

こんな、愛し方しか知らなくて、ごめんな・・・・。

                        <END>



<あとがき>
2006年始めての更新小説がこれって・・・一体・・・(大汗

え〜・・・ただ、単に、カイ視点の話しが書きたかっただけです・・・。
はい・・・。
なので、今回、思いも寄らぬぐらい、短くなってしまいました・・・。
もう少し、長い小説が書ける様に、努力します・・

2style.net